ミトコンドリアは、「細胞内共生説」で知られているように、太古の昔、原核生物であった「好気性細菌」が真核細胞に取り込まれ、細胞内で共生した結果、細胞質内小器官として、エネルギー発生装置の役割を担っている考えられています。
体内(正確には体外?)における他の例として、「腸管細菌叢」と人間の共生が挙げられます。これらの「微生物叢」は腸管内で様々な働きをして、人間の生体機能に寄与している考えられています。
では、血管内における「微生物」については、科学的にどのような論争があったのだろうか?
「パスツール」は、「種や属に関わらずすべての微生物は変化しないし、一種類の微生物は一つの特定の病気をもたらす。バクテリアや真菌は自然発生することはない。健康な人の血液および組織は無菌である」と主張した。
それに対して、同時代のベジャン(プ)(化学者、生物学者、薬学部教授)は、「すべての動物と植物の細胞には極小な顆粒状のものが存在し、有機体の死により死滅しない。生体の特定の病原な的影響下で、それは発酵の特性をもつ「バクテリア」に発達する」と主張した。
彼らより約40歳若い「エンダーレイン博士(ドイツ)」は、暗視野顕微鏡で、生きた血液を観察した結果を、主著(BACKTERIEN-CYCLOGENIE, 1925)にまとめた。「ヒトや温血動物の血漿には、生きた微生物がいる。それらは、体内環境により様々な病原性のある段階へと形態的に変化する」と主張した。その観察結果は大変興味深く、注目に値するが、明視野顕微鏡を使用する研究者たちに無視され続けた。
人類の歴史は「感染症」との闘いの歴史でもあるといわれていますが、「微生物」の本当の正体は何か?「微生物」の体内における分布と影響、「微生物との共生」を図るにはどうしたらよいかを真剣に研究してみる必要がありそうです。
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これまでに、癌との関連性が明らかになっている「細菌」や「ウイルス」をいくつかピックアップしてみたいと思います。
1.B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV):肝臓癌 とくにHCV
2.ヒトパピローマウイルス(HPV 特に16/18型):子宮頸癌、膣癌、陰茎癌、口腔癌、中咽頭癌
3.エプスタイン・バーウイルス(EBV):バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、上咽頭癌
4.ヒトT細胞白血病ウイルス―I型(HTLV-I):成人T細胞白血病/リンパ腫
怖がらせるために、上記の例を挙げたわけではありません。感染症によって、後に引き起こされる疾患として、癌があげられることに着目していただきたいだけです。
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◇「体内微生物」との共存:「ピンピンコロリ」を目指して |
「体内微生物」は体内環境に応じて、良い方にも悪い方にも変態しうるのであれば、私たちにできることは、自分自身の体内環境をよくすることです。
つまり、自分の体に影響を与えうるものは、注意して選択する必要があるということです。「水」、「食品」、「衣服」、「化粧品」、「シャンプやリンス」、等々・・・・
外的なものだけでなく、忘れがちな内面的な部分、マインド、感情にも十分注意を払う必要があります。
そして、心身の不調があったときには、放置せずに、必ず原因をさぐり、なるべく早期に解決する習慣を身につけておくことが、自分で「自分の健康」を管理する秘訣です。その結果、良い体内環境を保ち、「体内微生物」との調和的共存が実現し、病気になりにくい体になり、理想的な「ピンピンコロリ」的な生き方ができるかもしれません。
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